宮城県角田市にある、曹洞宗・長泉寺です。いち早く環境ISOを取り入れ、環境活動を推進しています。

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光陰矢の如し(令和7年8月18日

    かつてない猛暑に包まれたこの夏も、お盆を境にようやく和らぐ──そう書きたいところでしたが、お盆を過ぎたいまもなお、記録的な暑さが続いています。それでも季節は確かに歩みを進め、時の流れは途切れることなく続いているはずです。

    とはいえ、最近とくに感じるのは、時間の流れの速さです。実はこの二か月ほど長泉寺を留守にしておりまして、そのせいか余計に月日の早さを思わされます。年を重ねるにつれて、時はますます速く過ぎていくようで、「これは一体どういうことなのだろう」と考えることがあります。皆さんも、「若いころは一年がとても長く感じられたのに、今ではあっという間に過ぎてしまう」と思われたことはありませんか。
 
    これは単なる気のせいではなく、心の働き方の変化によるものだといわれています。子どもの頃は、見るもの聞くもの、何もかもが新鮮で、私たちの心は一瞬一瞬を丁寧に味わっていました。しかし、年を重ねるにつれ経験が積み重なり、同じような出来事が増え、心は「知っていること」として処理するようになります。そのため、一年があっという間に過ぎてしまうように感じるのです。
    
仏教では、この現象を「諸行無常」として説きます。すべては変わり続け、同じ時は二度と訪れません。それにもかかわらず、私たちはその変化を見慣れ、つい「同じ日常」と思い込んでしまう──その思い込みこそが、時をさらに早く感じさせるのかもしれません。
    そこで、AI(ChatGPT)にその理由について聞いてみました。
    年を重ねるほど時の流れが速く感じられる理由については、心理学や神経科学でもいくつかの仮説が提唱されています。
    第一に、「人生の割合」説です。
    10歳の子どもにとっての1年は人生の10分の1ですが、50歳の大人にとっては50分の1に過ぎません。年齢を重ねるほど、1年が人生全体に占める割合は小さくなり、相対的に短く感じられるのです。
    第二に、新鮮さの減少です。
    子どもの頃は初めての経験が多く、脳は大量の情報を処理して記憶に残します。しかし大人になると日常がパターン化され、新しい出来事が減るため、記憶の密度が下がり、振り返ったときに「短く」感じられるのです。
    第三に、生理的変化です。
    加齢とともに脳の情報処理速度や神経伝達の働きが変化し、時間感覚そのものが微妙に変わる可能性があります。
    これらの仮説はいずれも、「今という瞬間をどう感じ、どう記憶に残すか」が時間の感じ方を左右していることを示しています。つまり、年齢だけが原因ではなく、心の持ち方や日々の過ごし方によっても、時の流れの速さは変わるのです。 
     では、年齢を重ねても時間をゆっくりと感じるには、どうすればよいのでしょうか。それについても聞いてみました。
     心理学や脳科学、そして仏教の教えは、共通して次のような答えを示しています。
    第一に、新しい経験を積極的に取り入れること。
    旅行や新しい趣味といった大きな挑戦でなくても、通勤路を変える、初めての店に入るなど、日常に小さな「初めて」を加えるだけで、脳は活性化し記憶が濃くなります。
    第二に、五感を使って今を味わうこと。
    仏教では「念(いまに心をとどめる)」といいます。コーヒーを飲むとき、その香り、温度、舌触りを意識的に感じる。外を歩くとき、風や光の色を観察する。こうした五感の働きが、記憶を鮮やかにします。
    第三に、感情を伴う体験を増やすこと。
    感動や驚き、笑いといった感情は、ドーパミンの分泌を促し記憶を強化します。仏教の「一期一会」の心で、人や出来事と向き合えば、一瞬の価値が高まります。
    第四に、振り返りの時間を持つこと。
    一日の終わりに印象的な出来事を三つ思い返す習慣は、脳の記憶定着を助け、時間を「長く」感じさせます。
 
    季節は巡り、時は光陰矢の如く過ぎ去ります。しかし、今を丁寧に味わい、日常に新しさを見いだすことで、私たちはその速さの中にも深い充実を見いだすことができます。
    年を重ねることは、時の速さを知ることでもあります。そしてそれは、無常を深く味わう機会でもあるのです。
 
 
 

長泉寺 住職
奥野 成賢

 
 
 
 

今月はミネ幼稚園のお友達が描いた「ぶどう」です。