出会いと別れの季節に(令和7年3月12日)
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- 良寛の「遊び」から学ぶ-
良寛は、生涯を通じて名誉や財産に執着せず、シンプルな生活を送りました。特に晩年、彼が大切にしていたのが「子どもたちと遊ぶこと」でした。まりつきやかくれんぼ、鬼ごっこなど、彼は子どもたちと共に無邪気に遊び続けました。ある日、かくれんぼであまりに真剣に隠れすぎ、子どもたちが帰ってしまった後もじっと隠れ続けていた、という逸話も残っています。
では、なぜ良寛はこれほどまでに「遊び」に没頭したのでしょうか。宗教学者の山折哲雄氏は、この良寛の行動を「無心の境地」の実践であったと解釈しています。子どもたちは、計算や打算なく、その瞬間の遊びに夢中になります。その姿は、禅が理想とする「無心」の境地に通じるものであり、良寛もまた、子どもたちと遊ぶことで、その境地を実践し続けたのではないかと考えられます。
仏教においても、「遊び」は単なる娯楽ではなく、精神的な解放や悟りの一環として捉えられています。仏教の教えは、「今を生きること」の大切さを説きますが、まさに子どもたちの遊びは「今、この瞬間に生きる」ことそのものです。良寛の遊びは、まさに禅の実践であり、悟りへの道だったのかもしれません。
また、「遊び」には、人と人とを結びつける力があります。「遊び心を忘れない」という言葉があります。これは、柔軟な発想や創造性を持ち続けることの大切さを示しています。遊びは、上下関係や年齢の違いを超え、互いに対等な立場で関わることができる場です。良寛は、遊びの中にこそ、自由で平等な世界があることを知っていたのかもしれません。
このような視点から「遊び」を考えてみると、私たちの生活においても、遊び心を持ち続けることがいかに大切かが分かります。仕事や勉強に一生懸命になることも大切ですが、時には良寛のように、無邪気に遊び、無心になる時間を持つことが、心の豊かさにつながるのではないでしょうか。
新たな環境へと踏み出すこの季節、良寛の「遊び」の精神を思い出しながら、心に少し余裕を持ち、遊び心を忘れずに過ごしていただければと思います。新しい出会いが、皆さんにとって素晴らしいものとなりますように。
※「遊び心」とは、単なる娯楽ではなく、人生をより豊かにするための大切な要素です。仕事や勉強においても、創造性や柔軟な発想を生み出す鍵となります。良寛の生き方に学びながら、日々の生活の中に「遊び心」を取り入れてみてはいかがでしょうか。


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